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図2 男子100m背泳ぎの競技記録とスタート、ターンおよびフィニッシュの関係

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図3 女子100m背泳ぎの競技記録とスタート、ターンおよびフィニッシュの関係

が小さいことは、改善が困難であることを示す。男子の平均値において、スタートは、競技記録の12.6%を占めているのに、回帰直線の勾配は、14.6%になる。したがって、男子は、競技記録向上に伴い、スタート重要性が増すものと考えられる。平均値から55.0secへ競技記録を向上させる場合、スタートでは、0.61secの短縮が予想されるのに、距離が同じターンでは、0.52secであることからもその重要性がうかがわれる。
一方、女子は、ターンの傾きがスタートのそれより大きい。平均値から61.0secへ競技記録を向上させる場合、スタートは、0.55secの短縮が予想されるのに対し、ターンは0.60sec短縮しなければならないと予想される。したがって、ターンの重要性がうかがわれる。
目標値の許容範囲が大きいことは、個人差が大きいことを意味する。スタート技能のばらつきが他の局面に比べ大きいことは、壁けり動作、入水や背面潜行キック等の特殊な技能が内在するためと推察される。

4. 各局面の効果

スタート、ターンおよびフィニッシュ局面の効果の平均値、標準偏差、競技記録との相関係数に加え、各効果を局面時間から推察する直線回帰式の係数および95%Δを表2に示した。各局面時間と効果の関係は、スタートを図4、ターンを図5、そしてフィニッシュを図6に示した。
これらの回帰式から局面目標における、泳速度に対する効果が算出できる。これにより、ストローク以外の要素の関与の大きさを知ることができる。男子の場合、スタートでは1.95sec速くなり、ターンでは、ターン・インで0.20sec遅れ、ターン・アウトで、1.22sec速くなる。そして、フィニッシュでは、0.35sec速くなると推定される。同様に女子の場合、スタートでは1.56sec速くなり、ターンでは、ターン・インで0.27sec遅れ、ターン・アウトで、1.14sec速くなる。そして、フィニッシュでは、0.32sec速くなると推定される。
平均値から見た効果は、大きな性差は見られず、

 

 

 

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